【書評】改訂新版 JavaScript本格入門

前置き

随分以前、それまで避けていたJavaScriptを書く仕事から逃れられなくなった時、学習用として評判の良かった本書の前版を入手し、以降も比較的長めの期間手元に置いて愛用し、また初めてJavaScriptに触れる人達にも紹介してきました。 その本書の改訂新版がES2015に対応して出版される、と聞いて密かに楽しみにしていた所、ご縁があって書籍レビュアーを募集している、との事でしたので早速飛びつき、WINGSプロジェクトの書籍レビュアーに応募し、献本をして頂きました。

内容について

全体

本書は、制御構文や型、関数やオブジェクトなどの言語的基礎的な部分と、クライアントサイドでの実践的な土台になる部分の前後半に大きく分けられます。なお、目玉のES2015に関する部分については、本書の全体のそれぞれの要素(新構文なら構文の章)に散りばめられており、それぞれちゃんとES2015とマークが付いているので、当該仕様については簡単に識別出来るようになっており非常に分かりやすいです。

前版部分について

前半に該当する章で一番ページ数が割かれているのは「オブジェクト指向構文」についてです。ES2015での目玉のクラスが含まれている為でもあるのですが、それ以前の言語仕様でも「JavaScriptでもオブジェクト指向的な書き方」はプロトタイプベースという事もあり、決してぱっと理解しやすいものではありません。また、実際にプログラムを記述する際に中途半端に書くとバグの温床となりがちです。そういう部分に関して(もちろんその他の部分全般でもそうですが)非常に丁寧にかつ分かりやすく説明がされて言います。 もちろん基礎的な言語仕様についてもバッチリ各章で説明されているので、普通に業務などで使う場合に関してはこれで必要十分な印象を受けました。

後半部分について

後半部分で一番ページ数が割かれている章は「DOMの操作」についてです。つまり「HTMLやCSSをどう操るか」に関して比較的多めのページ数が割かれています。業務でJavaScriptを使用する場合、半分以上このDOMの操作について記述すると言っても過言では無いと経験上思います。もちろんJavaScriptフレームワークを使えば非常に勘弁に記述出来ますが、この部分の土台をしっかりと理解しているか否かでフレームワークを利用した場合の書き方や出来映えも変わってきます。また場合によってはフレームワークそのものの使用が出来ない場合もあります。そういったケース全般に渡って本章は力となってくれるでしょう。 それに次いでブラウザオブジェクトに関しても1章きっちりと割かれており、かつ実践で使用しそうな代表的な部分については網羅されているように思えます。

また最終章に、最後のスパイスとしてUnitTestやJSDOCについても少ないながらも記述があります。これは今の時流を考えると非常に妥当だと思えますし、それら要素へのとっかかりにはなるはずです。

総括

これからJavaScriptを学習しようとする人には、取りあえず最初はこれ一冊を手元に置いておきなさいと十分オススメが出来る本です。この内容であれば仕事上でも当面の間困る事は無いでしょうし、迷った時にリファレンス的にも十分使えます。下手なフレームワーク寄りの本から入るより、一度この本を通読してからフレームワークを暑かった方が、上達は早いでしょう。 また、今まで十分JavaScriptを書いている人でES2015への変化を知りたい人にもお勧め出来ます。

総括的に前版を上回る、期待に背かない良い本でした。ES2015絡みもあるので、手元に置いて活用させて貰おうと思います。